群馬の新名所〝要塞のような〟掘削現場 70mの岩塊撤去プロジェクトに5年、見学希望者は50倍の倍率

 

まるで山岳要塞のよう――群馬県安中市の上信越道・北野牧トンネル入り口付近には、高さ約70mの巨大な岩塊がそびえ立っています。落石の危険があるため、撤去工事が始まり、そのために設置された足場が「要塞のよう」とネット上で話題になっています。専用モノレールや大型エレベーターも設置され、見学の機会には多くの希望者が集まっています。

「まるで要塞」内の岩塊 上信越道の松井田妙義インターと碓氷軽井沢インターの間にある北野牧トンネル上部。このトンネルは1993年に供用開始され、長さは190mです。このトンネルの上部に、高さ約70mの巨大な岩塊がそびえ立っていました。

断崖絶壁の状態で、将来的に落石の危険性があるため、東日本高速道路は2023年4月から岩塊の撤去工事に着手。当初の高さ約70mから現在までに約50mまで掘削が進んでいます。

この掘削工事のために設置された足場が、まるで山腹に築かれた要塞のようだとネットなどで話題になりました。

巨大な岩塊は、トンネルの長野県側の入口の上に位置しています。1996年に北海道で発生したトンネル崩落事故を受けて、北野牧トンネルも岩盤調査を実施。その結果、将来的な落石のリスクが確認され、2014年に岩塊を取り除く方針が決定されました。撤去する岩塊の総量は約9万5千立方メートルになる予定です。

周辺は険しい地形のため、専用の工事用モノレールや重機を運搬できるエレベーターも設置されました。岩塊の撤去と工事の完了は2029年頃の予定です。

6月に工事現場が一般公開され、東日本高速道路長野工事事務所（長野市）の公募で選ばれた約70人が参加しました。見学会の参加は抽選で、競争率は約50倍でした。掘削現場では、施工を担当する大林組が、高速道路への落石を防ぐ特別な工法を用いた掘削作業を紹介しました。

撤去工事に伴い、大量の岩石（主に安山岩）が発生しますが、その有効活用法はまだ決まっていません。東日本高速道路は、岩石の有効活用方法を模索し、受け入れ希望者を募集しています。