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Z世代に人気の「古いiPhone」で切り取る日常 低画素数だからこそ生まれる写真の魅力とは?

 




これも再ブームの一環なのだろうか。現在、Z世代の間で、わざわざ「古いiPhone」を使って写真や動画を撮影するのが流行している。普段は最新モデルを使用しつつ、撮影時には「古いiPhone」を使い分けるケースも見られる。14年前に発売されたiPhone4で撮影した短編動画がInstagramで1000万回以上再生されるなど、一部ではこのトレンドが注目を集めている。なぜ今、「古いiPhone」を選ぶのか、その理由を若者たちに聞いてみた。

【写真】iPhone4で撮影されたポートレート

*  *  *

 5月15日、ストリートスナップなどを撮影している写真家のササキタカノブさん(33)は、「昔のiPhoneの写りが非常にエモいと聞いたので、メルカリでiPhone4を購入しました!」という15秒ほどの短い動画をInstagramに投稿した。これが瞬く間に拡散され、5月22日時点で1100万回以上も再生される大ヒットとなった。

 コメント欄にはZ世代と思われる若者たちからの称賛の声が多く、特に「ミュージックビデオみたいで素敵!」といった、映像の美しさを評価するコメントが目立った。

 実際、X(旧Twitter)では「最近の若者がスマホを2台持つ理由は、古い機種の写真の画質が荒くてエモいかららしい」という街頭インタビューの投稿が1700もの「いいね」を獲得し、拡散されている。Instagramでも、「家に眠っていたiPhoneで撮影してみた」「iPhone6で撮った!いい感じ!」など、Z世代と思われるアカウントの投稿がいくつも確認できる。

■メルカリで2000円で購入可能

 都内の大学に通う21歳の女子大生もこう語る。

「昔のiPhoneをわざわざ持ち歩いて、写真や動画を撮って(Instagramの)ストーリーに載せるのはよくやりますね。加工しなくても色合いがエモく映るので手軽です」

 ササキさんが使用したiPhone4が発売されたのは2010年6月で、背面のカメラの画素数は500万画素と低く、最新モデルのiPhone15Proの4800万画素と比べるとはるかに劣る。ササキさんはなぜiPhone4で撮影しようと思ったのか。

「今の20代が小学生時代に初めて触れたのがiPhone4くらいなんです。だからiPhone4で撮影した映像を見ると懐かしさを感じてくれるかなと思って。今はメルカリなどで2000円くらいで手に入るし、サイズも手ごろ。今のiPhoneよりも小さくて持ち運びも便利なんです」

 さらにササキさんは、「撮れる写真や動画もかわいい」とその魅力を語る。

「普通に撮ると手ブレも結構しますが、そのブレている感じが逆にいい味を出します。またiPhone4だと、コントラストが高めに設定されており、自動補正もかからず、影もくっきり出るので、昔のカメラのようにエモい映像が撮れるんです。被写体の情報をきちんと捉えるという点では最新機種が向いていると思いますが、雰囲気を出したり、レトロに撮りたい人には昔のiPhoneで撮るのがおすすめです」

■あえて制限のあるものを好む

 若い世代がレトロなものを好む傾向は、いまに始まったことではない。写真でいえば、デジカメ以前の「写ルンです」や「チェキ」などが過去に流行したことがある。だが今回の「古いiPhone」ブームは、これまでとは少し違う面もあるようだ。

 若者の消費行動に詳しい「博報堂若者研究所」の瀧﨑絵里香さんはこう分析する。

「どの世代にも、昔のモノを懐かしむ文化はあります。自分たちの世代よりもあえて昔のモノを使ってみて、それを共有し合うことに楽しさを感じます。そこまでは前世代と同じですが、今のZ世代には、膨大な情報や技術の進化への“疲れ”があるように思います。デジタル技術が発達しすぎて、最新のiPhoneなら写真も動画もプロ顔負けのものが撮れて編集までできます。それに対して、あえて不完全だったり、制限があったりするものに、どこか安心感を覚えるメンタリティがあるのだと思います」

 iPhone4が発売された当時は、デジカメと同じ写真が撮れることに驚いたものだが……。今の最新携帯も「レトロ」だと言われる日が来るのだろうか。

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