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毎回の帰省時に母が現金30万円を渡してくれますが、口座振り込みだと履歴が残るため、現金手渡しなら大丈夫なのでしょうか?贈与を疑われるリスクが心配です…

 




現金を直接手渡しすれば記録が残らず、生前贈与がばれないと思っている人は少なくありません。しかし、記録がないことでリスクを負う可能性もあります。

この記事では、少額の現金を手渡しで生前贈与した場合のリスクについて説明します。

子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金しているけれど、将来この口座を渡すときに「贈与税」はかかるの?非課税にすることはできる?

少額でも現金手渡しの生前贈与はばれる

生前贈与は、贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)の合意により成立します。口頭での合意や現金手渡しでも法的には問題ありませんが、贈与者が亡くなり税務調査を受けたときに困る可能性があります。

例えば、贈与者が定期的に預金を下ろしていた場合、税務職員は預金口座からの出金を把握し、このお金について「使途不明金」として調査します。調査では次の3つの可能性について尋ねられることが多いです。

  • 支出した(消費)
  • 現金として保管している(タンス預金)
  • 誰かに渡した(生前贈与)

「母が何か買った」と言っても、明確な領収書がなければ、タンス預金や生前贈与を疑われる可能性が高いです。

こっそり行った生前贈与がばれた場合

現金手渡しで生前贈与を行っていた場合、調査により判明した場合、税務署の判断は次の2つに分かれます。

  1. 生前贈与があった
  2. 生前贈与ではなかった

それぞれのケースについて説明します。

生前贈与があったと判断された場合

税務調査で生前贈与があったと判断されると、「暦年課税制度」によって贈与税を計算し納付する必要があります。暦年課税制度では、1年間に贈与を受けた金額が110万円を超えた場合、金額に応じた税率で贈与税を計算します。

年間110万円以内と判断されれば新たな納税は不要ですが、超えていた場合には納税が必要です。このとき、「無申告加算税」として最大20%、「延滞税」として年8.7%の追徴税がかかります(2024年6月時点)。

生前贈与ではなかったと判断された場合

税務調査の結果、「たしかに資金が移動しているが、お互いの同意がなかった」と判断されるケースもあります。この場合、生前贈与と見なされず、例えば「子どもが勝手に親の口座から資金を下ろしていた」などとされます。

この場合、生前贈与された金額の全部または一部が「母親の財産」と見なされ、相続税の計算をやり直す必要があります。生前贈与された金額を相続財産に加算して相続税の再計算を行い、修正申告を行って相続税を納付する必要があります。このときも、10~15%の「過少申告加算税」が加算される可能性があります。さらに、納税が遅れたことに対する「延滞税」も課されます。

基礎控除を活用して計画的に生前贈与を行う

暦年贈与による生前贈与には「基礎控除」があり、年間110万円までであれば贈与税がかからずに生前贈与を行えます。後から疑われないためには、こっそり現金手渡しするのではなく、口座間で資金の移動をして履歴を残すことが重要です。

さらに、使途不明金として調査されないようにするためには、その都度「贈与契約書」を作成して記録を残すことがおすすめです。

なお、2024年1月1日から法改正により、生前贈与の加算対象期間が3年から7年に変更になりました。相続開始前の7年以内に贈与された金額については、相続財産として計算されます。これまでよりも計画的な生前贈与が必要となります。

まとめ

少額の現金手渡しで生前贈与しても、相続発生時に母親の「使途不明金」として税務調査を受ける可能性があります。調査の結果「年間110万円以内の生前贈与だった」と判断されれば追徴税は発生しませんが、超えていた場合には無申告加算税や延滞税が課されます。また、生前贈与と見なされなかった場合には、相続財産として再計算し、修正申告が必要です。

生前贈与の年間110万円の基礎控除を活用し、口座間の資金移動で履歴を残したり、贈与契約書を作成したりすることが大切です。これにより、税務署から疑われる可能性が低くなります。

出典

  • 国税庁 加算税制度(国税通則法)の改正あらまし
  • 国税庁 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正あらまし


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