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東京都知事選に現れた「Rシール」、蓮舫氏陣営「無関与、撤去を依頼」 無断で剥がしても大丈夫?

 



東京都知事選の選挙期間中、都心部の繁華街などに「R」と記されたシールが大量に貼られ、注目を集めています。

【画像】あんなところにも「R」が

弁護士ドットコムニュースが7月10日時点で新宿駅周辺を調査したところ、電柱やガードレールなどに多くのシールが貼られているのを確認しました。選挙中だけでなく、以前から貼られていたようです。

この「R」を巡っては、都民ファーストの会の都議がSNSで「蓮舫さん陣営は、街中に貼られた『R』のシールを早急に剥がしてください」と投稿し、ネット上で話題になりました。

蓮舫氏は「R」がプリントされたシャツを着て選挙活動をしていたため、「R=蓮舫」という認識が広がったようです。ただし、シャツの「R」は黒色でしたが、シールの「R」は白色で、完全に同じではありません。

この件を受けて、蓮舫氏の秘書が管理していると見られるSNSアカウントが7月11日に「蓮舫陣営はこのシールに関与しておらず、SNSで初めて知った」と投稿。「シールを貼った方は、支援の気持ちからであっても、速やかに元の状態に戻すようお願いします」と呼びかけました。

誰がシールを配布し、貼ったのかは不明ですが、街中の電柱などにシールを貼ることに法的な問題はないのでしょうか。また、第三者が勝手にシールを剥がしても大丈夫なのでしょうか。刑事事件に詳しい澤井康生弁護士に聞いてみました。

善意でシールを剥がしても「事実上は問題ないのでは」

──街中の電柱や看板などにシールを貼ることに問題はないのでしょうか。

他人の私有財産である看板などにシールを貼った場合、器物損壊罪(刑法261条、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)に該当する可能性があります。シールを大量に貼り、看板としての機能を失わせた場合、器物損壊罪が成立します。

また、器物損壊とならなくても「みだりに他人の家屋その他の工作物に貼り札をし、または他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、またはこれらの工作物若しくは標示物を汚した」といえる場合、軽犯罪法違反(1条33号、拘留または科料)が成立する可能性もあります。

──もし道路標識などにシールが貼られていた場合はどうでしょうか。

都道府県公安委員会が設置した道路標識にシールを大量に貼り、標識が見えなくなった場合、道路交通法違反が成立する可能性もあります。同法115条では、「公安委員会が設置した道路標識、信号機や道路標示を損壊して道路における交通の危険を生じさせた場合、5年以下の懲役または20万円以下の罰金に処する」と規定しています。

シールを標識に貼り、その効用を失わせることで交通の危険が生じた場合、同法違反に該当する可能性があります。

また、東京都には屋外広告物条例があり、道路標識、信号機、ガードレール、街路樹等に広告物を表示することは禁止されています(同条例7条1項)。これに違反した場合、30万円以下の罰金が科される可能性もあります(同条例68条1号)。

──勝手に貼られたシールを剥がすことは問題なのでしょうか。

私有財産である看板などに勝手に貼られたシールを剥がすことは、器物損壊罪や軽犯罪法違反による被害を回復するための措置といえます。この場合、理論上は証拠隠滅罪(刑法104条)に該当する可能性があります。

しかしながら、被害者が被害を回復するために取った措置が証拠隠滅罪で立件されることはほとんどないため、事実上問題はないと思います。一応、念のため写真や動画で証拠を残しておくと良いでしょう。

【取材協力弁護士】

澤井 康生(さわい・やすお)弁護士 警察官僚出身で警視庁刑事としての経験も有する。ファイナンスMBAを取得し、企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける。東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)を歴任し、公認不正検査士試験や金融コンプライアンスオフィサー1級試験にも合格している。企業不祥事に対応する第三者委員会の経験も豊富で、新聞、テレビ、ラジオなどでも幅広く活躍中。陸上自衛隊予備自衛官の資格も有し、現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中。各種メディアでの連載や出演も多数。



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